幼虫飼育におけるマット交換とは
マット交換はなぜ必要か
クワガタカブトムシの幼虫飼育には、月や年単位での時間がかかります。交換なしで最初のマットだけで成虫まで育てられる虫もいますが、多くの種でマット交換が必要になります。
マット交換の判断ポイントは
交換するかしないかの判断を誤ってしまうと、
・まだ食べられるエサを捨ててしまう
・栄養のほとんど無くなったマットを与え続けてしまう
・マットの環境が悪くなり、虫が弱ったり死んでしまう
などもったいないエサの使い方をしてしまったり、虫の成長にマイナスになってしまうことがあります。
マット交換をするかどうかの判断ポイントは大きくわけると「幼虫の成長段階」と「マットの状態」です。期間での判断はあくまでも目安にするにとどめておきましょう。
幼虫の成長段階の見極め方
幼虫の成長段階を大きく2つにわけると、成長期の「エサを食べる幼虫」と、蛹になる準備段階の「エサを食べない幼虫」に分かれます。
1.エサを食べる幼虫
エサを食べる幼虫には、
・白からやや黄色がかった体色
・手や口が動く
といった特徴があります。
2.エサを食べない幼虫
幼虫期間の終わりの時期は蛹になる準備段階で、エサは食べず、蛹になるためのスペースを作るために動きます。
・体色は黄色味が強くなってきている
・手や口が動かない
といった特徴があります。
このような状態を前蛹(ぜんよう=蛹の前段階)と言います。前蛹状態になっていた場合の対処方法は、また別の記事でご紹介いたします。
3.蛹(さなぎ)になっていたら
蛹になっていた場合の対処方法は、また別の記事でご紹介いたします。
幼虫の確認方法
容器の外側から見える場合は、目で見て確認してみましょう。見えない場合には「露天掘り」をして確認してもよいでしょう。
露天掘り
露天掘りは中にいる虫の様子を確認するために、エサの上部を掘っていく方法です。幼虫のいるスペースに掘ったものが落ちないよう、すこしずつ慎重に掘りましょう。
今回の記事では、上記のうち「エサを食べる幼虫」に焦点をあてて、次章からマットの状態別対処方法をご紹介してまいります。
幼虫飼育におけるマット交換とは まとめ
1.マット交換は多くの種で必要
2.判断のポイントは幼虫とマットの状態
3.幼虫期間の最後はエサを食べなくなる
4.幼虫の状態はなるべく目視で確認する
マットの状態別対処方法(エサを食べる幼虫の場合)
交換が必要な場合
マットの表面がフンだらけになった→【!交換】
表面がフンで覆われるようであれば、エサとして食べられる部分が少なくなっていると考えられますので、新しいマットに交換します。
マットから変な臭い(発酵臭)がする→【!交換】
変な臭いがする場合は、マットが再発酵していると考えられます。マットは再発酵が起きると発熱を伴うガスの発生が起こります。高温と酸欠の2つの危険がありますので、新しいマットに交換します。
対処が必要な場合
マットのかさが減った→【△対処】
セット時よりもかさが減った場合はマットを追加するとよいでしょう。
使用中のマットを飼育容器からたらいなどに移して、新しいマットと混ぜ、必要であれば加水を行います。このとき幼虫はプリンカップなどの容器に使用中のマットを入れて、そこで一時保管しておくとよいでしょう。
マットにコバエが発生した→【△対処】
コバエ自体が幼虫に直接的な悪影響を及ぼすことはないと考えられますが、マットの分解が進み、幼虫に与えられる栄養分が減ってしまう可能性がありますので程度によっては交換した方がよいでしょう。
マットにカビが生えたら→【△対処】
カビが幼虫に直接的な悪影響を及ぼすことはないと考えられます。部分的に発生している場合は、ひとまず様子を見て、全体に広がるようであれば交換したほうが良いでしょう。
マットが熱を持っている→【△対処】
マットは性質上、熱をもつことがありますが、異常ではありません。ただし熱くなりすぎると中の虫に悪影響がありますので、もう少し温度の低い環境に移した方がよいでしょう。
マットに線虫が出た→【△対処】
線虫は飼育中の虫への直接的な悪影響はないと考えられます。容器内の湿度が高いときに発生しやすくなりますので、しばらく容器のフタを開けて湿気を逃がしてやると多くの場合見られなくなります。フタを開けて様子を見るとよいでしょう。
マットがドロドロに湿っている→【△対処】
幼虫を育てるにはマットに適度な水分が必要になります。ドロドロ状態のときはもちろんのこと、握ったときに水が出てくるようであれば、水分過多であると考えられます。マットを全部交換するか、新しい乾いたマットを足して水分調整をするとよいでしょう。
新しいマットを足す場合は、使用中のマットを飼育容器からたらいなどに移して、適度な水分量になるまで新しいマットと混ぜます。このとき幼虫はプリンカップなどの容器に加水した新しいマットを入れ、そこで一時保管しておくとよいでしょう。
マットがパサパサに乾いている→【△対処】
幼虫を育てるにはマットに適度な水分が必要になります。砂のようにパサパサで握ったときに形が残らず崩れるようであれば、水分不足であると考えられます。マットに加水した方がよいでしょう。
マットを飼育容器からたらいなどに移して加水を行います。このとき幼虫はプリンカップなどの容器に使用中のマットを加水してセットし、そこで一時保管しておくとよいでしょう。
マットの深さが10センチより浅い(国産カブトムシの場合)→【△対処】
ほとんどのクワガタとカブトムシは横たわるように蛹室を作りますが、例外的に国産カブトムシの場合、縦型に蛹室を作ります。その際ある程度の深さが必要になるため、前蛹や蛹になったときのことを考えて、10センチより浅い場合はマットを追加したほうがよいでしょう。
使用中のマットを飼育容器からたらいなどに移して、新しいマットと混ぜ、必要であれば加水を行います。このとき幼虫はプリンカップなどの容器に使用中のマットを入れて、そこで一時保管しておくとよいでしょう。
マットの状態別対処方法(エサを食べる幼虫の場合) まとめ
1.マットの状態を見極めよう
2.エサ切れや再発酵に要注意
3.交換以外の対処方法もある