菌糸ビンとは何なのか?
菌糸ビンの材料は「培地(オガ屑・小麦フスマ・水)+キノコ菌」
菌糸ビンは「オガ屑・小麦フスマ・水」を混ぜ合わせ熱殺菌した物(培地と呼ぶ)に「きのこ菌」を植え培養した物。キノコを栽培している工場で生産される物がほとんどで、キノコ業界では「菌床(きんしょう)」と呼ばれています。
菌糸ビンを使ったキノコ栽培(菌床栽培)
栽培したいキノコ(菌)に合わせて、おが屑・小麦フスマ・水などで作る培地の内容と培養・発生環境を変えて様々な「きのこ」を栽培できます。
クワガタ用の菌糸ビン・キノコ栽培用は何が違うのか?
基本的にはキノコの栽培で使う菌床と同じ生産工程で作られますが目指す方向に違いがあります。
キノコ用はキノコをいかに発生させるかを目標に作りますが、クワガタ用はキノコ菌でオガの分解は進めつつキノコの発生を極限まで抑える事を目指して作ります。具体的には培地の内容と培養期間や培養温度、食用ではありますが使用している菌が違います。
クワガタ用の菌糸ビンの作り方(月夜野きのこ園の場合)
【工程の大きな流れ】
培地作り→植菌→培養→詰替→培養
【原材料】
「オガ屑」 (キノコ用より細かい)
「小麦フスマ」(キノコ用より少ない)
「水」 (キノコ用より少ない)
「菌}(食用キノコ菌だが培地の分解力が高い物)
【生産工程】
- 原材料の攪拌
- 袋詰め
- 殺菌
- 冷却
- 植菌
- 培養
- ビンへ詰替え
- 培養
クワガタ用の菌糸ビンが出来るまでを写真で紹介
なぜ菌糸ビン飼育なのか
オオクワガタ幼虫の飼育は、ここ数十年間で「材飼育」「発酵マット飼育」「菌糸ビン飼育」と進化し飼育期間の短縮、個体の大型化が進んできました。現在では大型個体を飼育する為に「菌糸ビン」は必須のアイテムになっています。
ではなぜ菌糸ビン飼育は速く大きく育つのか?「材飼育」「発酵マット飼育」とは何が違うのか?それは菌糸ビン内で生きているキノコ菌が木の成分「リグニン」を分解し、幼虫がその他の成分を消化吸収しやすい状態にするからだと考えられます。
菌糸ビンに使用されている菌(ヒラタケやカワラ茸など)は白色腐朽菌と呼ばれ、木の成分「セルロース」「ヘミセルロース」と同等に「リグニン」を分解できる事が特徴です。
自然界ではオオクワガタの幼虫はカワラ茸などが発生している木に生息していて、子孫を残すのにメスがより良い場所と判断し産卵していると考えられます。
菌糸ビンは白色腐朽菌で分解された木を再現した物
菌糸ビンとは何なのか? まとめ
1 菌糸ビン(菌床)は自然界の白色腐朽菌の入った木を再現しオオクワガタの産卵も可能です。
2 菌糸ビンはキノコ菌が木を分解する能力を利用し幼虫を大きく育てる不思議なアイテムです。