今回は国産のクワガタの中でも比較的に親しみのあるクワガタ、
ノコギリクワガタ(本土)の飼育をご紹介します。飼育方法はもちろん、
今回は国産ノコギリクワガタ(本土)の飼育方法についてです。
野外で捕まえた場合や、夏頃に網戸にメスがたかってた等のケースも含め、
総合的にご紹介します。ちなみに本土と書かせて頂きましたのは本土以外の離島のノコギリクワガタは若干飼育方法が異なる事もあるからです。
ノコギリクワガタの基本情報
ノコギリクワガタってどんなクワガタ
ノコギリクワガタはほぼ日本全国で発見できる最も親しみのある種類の1つです。
茶褐色で(黒っぽいものも居ます)ツヤのあるボディ、カッコいい湾曲のある大アゴ(小型種は湾曲しないものあり)、そして素早い動きが魅力のクワガタです。森や山などでも発見し易く、また自然の多い地域では街頭の光の側で発見してみたり、自宅の網戸にたかっているなんて事もあり、比較的に見た事が多いクワガタでもあると思います。大きいものは70mmを超える事もあり、身近なクワガタとはいえカッコ良さはその他のクワガタには決して負けておりません。成虫の寿命も長いものでは野外に出始めてから半年くらい生きる事もあります。
野外でノコギリクワガタを捕まえた場合
基本情報としまして、まずは比較的に身近なクワガタという事で、野外で捕まえた場合の事をご紹介します。♂を捕まえた場合ですが、飼育ケースにハスクチップの様なものを敷いて、昆虫ゼリーを与えておけばOKです。あまり動かさずに観察し、長生きしてくれる事を祈りましょう。長生きを考えますと飼育ケースは大きめのほうがベターです。
では♀を捕まえた場合ですが、上記のように観察目的でももちろん良いのですが、後にご説明致します産卵セットを組んでみるのもオススメです。もしかしますと卵を産んでくれる可能性も充分ありますので、是非とも挑戦してみて頂きたいと思います。
ノコギリクワガタの基本情報 まとめ
1 日本のほぼ全土にて発見できる
2 茶褐色でツヤもあり、大型種の大アゴは湾曲していて動きも素早い
3 大きいものは70mmを超える
4 野外に出始めてから半年生きる事もある
ノコギリクワガタのブリードに挑戦
この項ではいよいよ本格的な飼育についてご説明します。流れとしましては
①成虫の管理
②産卵
③割り出し
④幼虫飼育
⑤サナギ・羽化
こんな感じになります。ではさっそく参りましょう!
♀に卵を産ませてみよう!産卵セットの組み方
さてノコギリクワガタの産卵に挑戦するわけですが、まずは成虫が必要です。野外採集の可能な種ですが、まずは購入する事をおすすめします。購入時にはエサを食べ始めたかどうかを確認してください。成虫がエサを食べ始める事を後食(こうしょく)と言いまして、成熟具合の目安になります。(成熟しきっていないと交尾をしない場合もあるため)先ほどお話をさせて頂きました、野性の♀がすでに居る方はこの項を参照して頂ければと思います。
産卵セットの作り方ですが、マット産卵のセットをおすすめします。内容は以下の通りです。
①飼育ケースLサイズの7分目くらいまで黒土マットを敷く(完熟マットでもOK)
②そのマットを固める(上から手でギュウギュウ押しつける)
③その上から2~3cm程度同じマットを入れる(押し付けない)
④転倒防止のための止まり木と昆虫ゼリーを置いて置く
⑤新聞紙をあいだにはさんでフタをする
産卵セットが完成しましたら、ノコギリクワガタの♂♀を同居させます。1週間~10日程度を目安に同居させます。♂が♀を攻撃したりする場合はまだ交尾を行える程には成熟していない可能性も高いのでもうしばらく別々で飼育を続けます。野外の♀を持っている方はその♀を産卵セットの中に入れます。温度は25℃~27℃くらいに設定します。
そうしましたら、無事に産卵をしてくれる事を祈ります。♀が潜っている時間が増えてきたら期待度大です。
上記のセットはカブトムシ専用ですが、ノコギリクワガタの産卵にも抜群の威力を発揮します!
卵や幼虫を確認してみよう!割り出しのやり方
同居期間を経て1カ月もすれば割り出し(産卵ができたか否かの確認)を行っても良いと思います。どれほどの幼虫がいるのか楽しみです。割り出しはケースから幼虫が5~6頭見え始めてきたら行う事をおすすめします。いつまで経っても幼虫が見えてこない場合は産卵をしていない可能性がありますのでもう一度♂♀の同居生活からやり直しとなります。
割り出しは大きめのタライの中や、新聞紙を敷いた上などに飼育ケースの中のマットをそっと撒けます。そして中に居る幼虫たちを取り出します。小さい幼虫はまだ柔らかいため優しく触れるようにしてあげてください。そしてその幼虫たちを個別にて飼育します。
幼虫飼育の開始
さて無事に割り出しを済ませた皆さん。続いては幼虫の個別飼育となります。幼虫飼育ですが、基本的には難しい事はないのですが、やり方が幾つかあります。
①菌糸ビン飼育 ②マット飼育 ③材飼育
このうち材飼育は初心者の方には比較的に難しいかもしれないため今回は控えます。ただし、どうやら材飼育が最も細身のキレイなシルエットの成虫になる傾向があるらしいです。残りの二つはこの記事を読んで下さった皆様で判断してみて下さい。
【幼虫から羽化するまでの時間】
菌糸ビン飼育 25℃前後の温度管理で9~11カ月(♀はこれよいやや早め)
マット飼育 25℃前後の温度管理で10~14カ月(♀はこれよりやや早め)
※期間は目安です。
【成虫の形の良さ(腹が出てない等)】
マット飼育>菌糸ビン飼育
こんな感じです。実績的には菌糸ビンの方が成長は早いようです。
ちなみに温度管理も常温(季節により温度変化あり)でも充分飼育可能ですが、羽化するまでに2年近くかかってしまう可能性もあります。
菌糸ビンはそのまま幼虫を入れて頂ければOKですし、マット飼育(きのこマットがオススメ)の場合は空ボトルにマットを詰めて幼虫を中に入れます。
そして菌糸ビンであれマットであれ幼虫が食べ始めて中身が減ってきましたら交換します。マット飼育の場合はマット交換、菌糸ビンの場合は新しい菌糸ビンと交換します。
サナギになったら
幼虫飼育を開始して数ヵ月後には幼虫のエサを食べる速度が落ち始める時があります。サナギになる準備を始める頃です。サナギになり始めた事がビンの側面から見え始めてきましたら、そこからは羽化するまで安静にしておきましょう。ほじくり返したりする事はおすすめではありません。サナギ期間が1~2ヶ月あり、その後に羽化します。この期間はそっとしておく我慢の時期となります。
羽化に成功したら
サナギの期間を経ていよいよ羽化します。ビンの中で羽化をしますが、羽化して成虫の体になっても自力で菌糸やマットの中から出てくるまで待っててあげましょう。その前にビンの中から取り出したとしても、しばらくはエサ(昆虫ゼリー)は食べませんし、あまり動きません。
ノコギリクワガタは羽化してから活動を開始するまでに比較的時間がかかる種類に属します。野性のノコギリクワガタも、実際に飛んだり樹液を吸ったりしている姿を見かけたたとしても、実はその頃には羽化してからずいぶんと時間が経っていたりするのです。ノコギリクワガタは、野外に出始めてから半年生きる事もあると前半で書かせて頂きましたが、それはこういった理由からくるものです。ですので羽化した日を起点としますと、1年近く成虫として生きる場合もあるという事になります。
最後になりましたが、もちろんノコギリクワガタを育てる最大のポイントは皆様のクワガタ愛です。深い愛情を持って育ててくれる事をお願いしたいと思います。
ノコギリクワガタのブリードに挑戦 まとめ
1 産卵セットには黒土マット・完熟マットどれでもOK、底面から7分目までは固く詰める
2 飼育ケース内から幼虫が見え始めてきてから割り出しを行う
3 幼虫飼育は菌糸ビンでもマット(きのこマット)でもOK
4 幼虫飼育の管理温度は25℃前後が理想(常温でも飼育可能だが時間はかかる)
5 サナギ~羽化して自力で出てくるまでは安静に見守る
6 クワガタ愛を持って飼育する
この記事でご紹介したアイテム
月夜野きのこ園クワガタ菌床販売部にてご購入頂けます。
>国産ノコギリクワガタ
>黒土マット
>完熟マット
>きのこマット
>飼育ケースLサイズ
>PPボトル(空ボトル)
>菌糸ビン
>昆虫ゼリー
>暴れん棒