クワガタの長歯と短歯について!気になる大アゴの秘密に迫ります。

カステルナウディツヤクワガタ クワガタ飼育

短歯・長歯とは

大歯・中歯・小歯

短歯・長歯について考える前に、クワガタやカブトムシにおける通常的な特徴、大歯・中歯・小歯についてご説明します。
例えば人間の場合ですと、例外こそあれ背の高い人ほど手や足も長い、こんな事が言えると思います。足のサイズなども変わってくる事もあるかもしれません。クワガタやカブトムシも同様に一般的には体の大きな個体ほど大アゴやツノも大きくなる傾向があります。大きさだけでなく、形状も変わってくる事もあります。大きな個体は大歯になり易く、小さな個体は小歯になり易いといえます。この場合の大きな個体とは、その種類の特徴として潜在的に大きいというのではなく、その同族の平均的なサイズに対し大きい、という意味です。日本人で言いますと180cm以上の男性は大きい(平均と比べ)と言うのと同じニュアンスです。

この傾向はクワガタだけでなくカブトムシにも言える傾向です。大きなカブトムシほどツノは長いと言えるでしょう。
具体例としてわかりやすいものとしましては、国産ではやはりノコギリクワガタが挙げられます。大歯・中歯・小歯に分かれます。

国産ノコギリクワガタ大歯
国産ノコギリクワガタ長歯

国産ノコギリクワガタ中歯
国産ノコギリクワガタ中歯

国産ノコギリクワガタ小歯
国産ノコギリクワガタ短歯

短歯と長歯の違い

では本題の短歯と長歯についてです。ちなみに短歯と長歯の間に中歯も存在しますが、この記事では短歯・長歯を中心にご説明致します。
短歯とは端的に言いますと、アゴの長さが短く出る事、長歯はその逆で長く出る事という事になります。ただしポイントは、アゴが長かったり短かったりしても、必ずしもその体長と比例している訳ではない、という事です。つまり体は大きめなのにアゴは短い、体は小さめなのにアゴは長い、こういった事も充分にあり得るという事です。ここが前項の大歯・小歯と違うと言えます。短歯・中歯・長歯に関して言うなれば体の大きさとの関連性が低いという事になるのかもしれません。もちろん実際は何かしらの関連性はあるのでしょうが、一見するとそうには見えないといった感じでしょうか。こういった現象の事を、クワガタの大アゴの多型現象と言うようです。ちなみに短歯・長歯で言いますと、その長さだけでなく、アゴの太さにも影響が出ることもあり、太さで言いますとあくまでも傾向に過ぎませんが、大アゴの太さ=短歯>長歯 という印象があります。もちろんこうでない場合もあるのでしょうが、こういった傾向があるのではと月虫では感じております。

カステルナウディツヤクワガタ短歯
カステルナウディツヤクワガタ

同種の中歯
カステルナウディツヤクワガタ

ちなみになぜこういった事(短歯と長歯)が起こり得るのかと言いますと、ハッキリとは解明している訳ではないようで、まさにクワガタの七不思議とも言えます。

長歯・短歯に遺伝はあるのか

ではこの短歯・長歯に関しまして、遺伝というものは存在するのでしょうか。
種類によりましては遺伝しやすい傾向のものもあるのかもしれませんが、何とも言えないというのが答えになってしまいます。
あくまで一説ですが、隔世遺伝が存在するという事もあるようです。ただ経験則で言いますと、同時期に全く同じ環境で飼育を行ったにもかかわらず、違う歯型で羽化したという事も過去にはあり、謎は深まるばかりですが、幼虫時の管理温度や蛹化する際の湿度等が影響しているのでは、とも言われているようです。

ゼブラノコギリクワガタの短歯
ゼブラノコギリクワガタ

同種の中歯
ゼブラノコギリクワガタ

長歯・短歯はすべての種類に存在するのか

ではこの短歯と長歯、全てのクワガタに出る現象なのでしょうか。これもハッキリとは言えませんが、おそらく全てではないのでは、というのが月虫の見解です。一般的に、短歯・長歯といわれるクワガタには、アルキデスヒラタやツヤクワガタの一部(多くとも言われます)、ノコギリクワガタの一部が該当します。
ですが傾向が顕著ではないというだけで、実はほとんどのクワガタに存在するのかもしれません。そのあたりはハッキリとはしておりません。

ゾンメルツヤクワガタの短歯
ゾンメルツヤクワガタ

同種の中歯
ゾンメルツヤクワガタ

短歯と長歯とは何か まとめ

1 クワガタやカブトムシは体長によってアゴやツノのサイズや形状が変わる
2 クワガタの中には、体長にかかわらずアゴの形状やサイズが変わる種類がいる
3 2における短いアゴは短歯、長いアゴは長歯と呼ばれている
4 短歯・長歯は飼育環境によって変わるのでは、という説もある

短歯と長歯についてのあれこれ

飼育方法によって短歯・長歯を狙えるのか

ではこの短歯と長歯、どうしてもそのどちらかを羽化させたい!となった場合、意識的に狙う事ができるのでしょうか。おそらくその方法はあるのでは、というのが月虫の見解です。ですがその方法はハッキリとは解明されていないのではと思われます。自然界においてクワガタの一部の(若しくは多くの)種類でこういった事が起こり得る以上、何かしらの理由があると思われます。その何かしらの理由が何なのかという事がハッキリしていないという事だと思います。経験則で言いますと、幼虫からサナギにかけて、低温飼育を行った場合に長歯が出ることが多かったのですが、これもあくまで過去の事例の一部です。飼育者の方にお話を聞いてみますと、飼育下のクワガタは短歯が出ることが多いようです。これも環境が理由なのかエサなのかは不明です。この事を考えますと、例えばアルキデスヒラタなどの幼虫を全て違った環境で飼育を行い、傾向を探ってみるというのも面白いかもしれません。

アルキデスヒラタクワガタの長歯
アルキデスヒラタクワガタ

どちらが人気があるのか

短歯と長歯、一体どちらが人気があるのでしょうか。流通単価も変わるのでしょうか。これもその時期やその時の流通量、人気の傾向にも左右されるのでしょうが、概ね種類によって分かれているような気がします。例えばアルキデスヒラタなどは短歯の方が人気が高いように思われますし、スペンスノコギリクワガタやラコダールツヤクワガタ等は長歯の方が人気が高く流通単価も高いように思われます。ツヤクワガタの多くはやはり長歯の方が流通単価は高い傾向があります。あとは結局のところ、飼育者様の好みになってしまうと思われます。こう考えますと、短歯・中歯・長歯、同じ種類でこうも違いますと1粒で3度おいしい、そんな気もしてしまいます。

ラコダールツヤクワガタの中歯
ラコダールツヤクワガタ

同種の長歯
ラコダールツヤクワガタ

どちらがケンカが強いのか

最後になりますが、これが最も気になる事かもしれません、短歯と長歯、ケンカをさせたら一体どちらが強いのか、この事についてです。何気に難しい判断になりますが、短歯と長歯では一長一短、特性は違うと思われます。

長歯;挟む力は短歯には劣るが掴む事にかけてはリーチが長い分有利
短歯;掴む事はリーチの差で長歯に劣るが挟む力は強烈

こんな感じでまとめられると思います。
ですので、どちらが強いのかで言いますと真に難しい判断になります。ケンカの強さはさておき、これも最終的には飼育者の方の好みになってしまうのではとも思います。
挟んで投げ飛ばす方がお好みか、強烈な力で挟み倒す方がお好みか。完全に好みが分かれるところですね。

挟む力はクワガタ界隋一!? アルキデスヒラタクワガタの短歯
アルキデスヒラタクワガタ短歯

短歯と長歯についてのあれこれ まとめ

1 短歯を羽化させる方法や長歯を羽化させる方法はあまり明確ではない
2 クワガタの種類によって短歯人気、長歯人気の傾向は分かれる
3 短歯と長歯では挟む力と掴む能力で一長一短
4 どちらがケンカに強いのかは、させてみないとわからない

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