種類によって産卵数に差はあるのか
種類ごとの産卵数の違い
クワガタやカブトムシの産卵数は同じ種類のメスであっても、個体ごとに産む数が多かったり少なかったりということは当たり前のようにおこります。それでも、これまでの飼育の経験から平均的に産卵数が多い種・少ない種は存在すると考えられます。
大きくクワガタとカブトムシとで分けた場合には、カブトムシのほうがより多く産卵する傾向が見られます。マット(土)に産む虫と材(木)に産む虫で比較した場合では、マット(土)に産む虫のほうがより多く産卵する傾向が見られます。
種類ごとに産卵数に差が出るのはなぜか?
原因についてはわからないことが多いのですが、マットに産む種が木に産む種よりも多く産卵する傾向があることについてのよく知られる仮説を2つご紹介いたします。
▼仮説その1 産める場所の広さ?
マット産みの種であれば、詰めたマットの「全体」が産卵場所となりますが、材産みの種の場合、マットの中に埋め込んだ「材の部分のみ」が産卵場所となります。同じ大きさの飼育ケースに産卵セットを組んだ場合、「全体」に産めるものと「部分」にしか産めないものでは、産卵場所の広さに差が出てきます。産卵数は広いほど多くなり、狭いと少なくなるのでは?という根拠に基づいた考え方です。
▼仮説その2 外敵が多いと多く産む?
材産みの種の場合、材に潜り込める外敵が少なく、卵や幼虫が生き残る確率が高いためたくさんの卵を産む必要がなく、マット(土)に産む種の場合、土の中で生息するモグラなどの外敵が多く、卵や幼虫が生き残る確率が低くなるため、全滅しないよう多くの卵を産むようになったのではないかという考え方です。
魚のマンボウは3億個の卵を産んでも、大人になるまでに他の魚に食べられてしまうなどして数がどんどん減っていき、その中で最終的に大人になれるものは数匹という割合だそうです。これは極端な例だとしても、外敵が多い環境にある生物は、多く産んで全滅を防ごうという本能が働くのではないかと思われます。
種類によって産卵数に差はあるのか まとめ
1 種ごとに産卵数が多い・少ないという傾向がある
2 カブトムシはクワガタより産卵数が多い傾向がある
3 マット(土)に産む種は、材(木)に産む種より産卵数が多い傾向がある
産卵数についてのあれこれ
ここからは、産卵数の多いクワガタ・カブトムシ、多く生ませるコツ、産卵の難しい種をご紹介します。
産卵数が多いクワガタ(月虫の経験からご紹介)
※ご紹介する産卵セット方法は月虫の過去の実績になります。このようにすれば必ず産むというものではありませんのであくまでもご参考程度にお考えください。※虫名の隣の数字は幼虫と卵の合計数です。
プラティオドンネブトクワガタ→120
マット産みのネブト系のクワガタには多産のものがおりますが、最も多かったものはプラティオドンネブトクワガタでした。産卵セットの設定は、温度は25度程度、産卵床には完熟マットをふるいにかけた微粒子状のものを使用、水分量は多めで行いました。
ギラファノコギリクワガタ→68
2番目に紹介するのはギラファノコギリクワガタです。プラティオドンネブトクワガタと同じマット産みの種になります。このときの産卵セットは、温度は25度程度で、産卵床にはくわマットを使用しました。
国産オオクワガタ→48
次にご紹介するのは国産オオクワガタです。これは産卵数が少ない傾向にある材に産むタイプのクワガタです。このときの産卵セットは、温度は25度程度で、産卵床にはクヌギ材を使用、材を埋め込むマットには、完熟マットを使用しました。
産卵数が多いカブトムシ(月虫の経験からご紹介)
※ご紹介する産卵セット方法は月虫の過去の実績になります。このようにすれば必ず産むというものではありませんのであくまでもご参考程度にお考えください。※虫名の隣の数字は幼虫と卵の合計数です。
エレファスゾウカブト→157
月虫の中で最も多い産卵数を記録したのがエレファスゾウカブトでした。このときの産卵セットは、温度は25度程度に設定、産卵床には完熟マットを使用しました。10日間隔で6回採卵して合計157個の卵がとれました。
マルスゾウカブト→134
エレファスと同じゾウカブトの仲間からマルスゾウカブトもご紹介します。このときの産卵セットは、温度は25度程度に設定、ケースは衣装ケースの中くらいのもの、産卵床には完熟マットを使用しました。先に紹介したエレファスと同様に6回に分けて採卵して合計134個の卵がとれました。
ヘラクレスヘラクレス→124
大人気のヘラクレスヘラクレスも多く産む傾向のある種になります。このときの産卵セットは、温度は25度程度に設定、ケースは衣装ケースの中くらいのもの、産卵床には完熟マットを使用しました。こちらも6回に分けて採卵して合計124個の卵がとれました。
産卵数を増やすにはどうしたらよい?
全ての虫に共通して言えることとしては、「生息地の環境に近づけること」がポイントとなります。
その中でも、重要な要素として温度、湿度、そして産卵床などがあげられます。温度と湿度はエアコンなどを上手に利用することで整えることができますが、その虫に合った産卵床(マットや材など)でないとほとんど産んでくれないということもあります。
産卵させたい虫に合うマットや材を購入する際には、店員さんに「おすすめ」や「産卵の実績」などを聞いてからにすると良いでしょう。
産卵実績について情報を公開しているサイトもありますので、そちらを参考にしても良いでしょう。
▼月夜野きのこ園産卵DB
https://www.tsukiyono.co.jp/stag2/sanran-report/
挑戦者求む!産卵が難しい種
飼育下で産卵が難しいとされているものの1つにマルバネクワガタがいます。生息環境にあった俗に「赤枯れ」と呼ばれる褐色腐朽菌により分解されたマットが必要になってきますが、市販されているものが少なく入手が難しいため、産卵させることが難しい種となっています。
また、ゾンメルツヤクワガタやブルークツヤクワガタなどに至っては、産卵の最も難しい種とも言われています。これらは確立された産卵方法が世の中に出回っていないため、何を使ってどのようにすればよいかということが知られておりません。
これら難関種の産卵に挑戦している方が試している方法としては、「複数のマットをブレンドする」「フンを混ぜる」「添加剤を混ぜる」など色々試されているようです。「難しいことほど燃える!」という方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか?そして、もし方法がわかったらこっそり(?)月虫に教えてください。
産卵数についてのあれこれ まとめ
1 月虫的産卵数は多いもので157(世の中にはきっともっと?)
2 クワガタの中でもマットに産む種が多く産む傾向がある
3 多く産ませるには、生息地の環境に近づけることがポイント
4 産卵させることが難しい種はいる、攻略のカギは産卵床?
この記事でご紹介したアイテム
月夜野きのこ園クワガタ菌床販売部にてご購入頂けます。
>国産オオクワガタ
>国産カブトムシ
>ヘラクレスオオカブト
>ギラファノコギリクワガタ