クワガタの産卵方法
成熟の重要性
クワガタの産卵について考える時の重要項目としまして、成熟というキーワードが必ず出ます。これはクワガタだけでなく、カブトムシも同様です。この成熟とはどういった意味かと言いますと、成虫が交尾・産卵できる状態になったという事を指します。成熟していないうちに、交尾をさせようと試みても失敗に終わる事がほとんどです。これは♂♀を同じ飼育ケースに入れて飼育する行為も含みます。この場合の失敗というのは、最悪の場合ですと♂が♀を殺してしまうという最悪のケースや、無事に交尾を行っていたにせよ、その卵の孵化率が著しく落ちるなど、後々に影響を与える事です。ですので、クワガタやカブトムシの産卵という飼育工程においては、この成熟というキーワードは最重要項目でもあるわけです。
成熟の確認
では成熟したのか否かの確認は、一体どうすれば良いのでしょうか。
方法としましては幾つかありまして、分かり易いものとしましては後食の確認と日数経過の計測です。後食というのは成虫が羽化後に成虫としてのエサを食べ始める事を指します。成虫としてのエサというものは、飼育下では昆虫ゼリーや果物などです。幼虫のうちはゼリーや果物は食べません。ですのでこれらは成虫としてのエサという事になります。
後食を開始してからどれほどの日数が経過したのかを計測する事により、成熟を推測するわけです。この日数ですが、実は種類によってまちまちです。より慎重を期する種類に関しましては、半年近く経過を見守る方が良い場合もあります。一般的には、後食開始後3カ月という目安が多いです。ですがこの成熟期間に関しましては、飼育しているクワガタの種類によって事前に調べておく事も大切です。
この件で補足としまして、クワガタの成虫をお店や通販などでご購入される場合は必ず羽化日を確認するようにして下さい。表記がされていない場合などはお店の方に確認してみるようにして下さい。羽化日から逆算して成熟の度合いを確認する事に役立つからです。
ちなみに、いわゆるワイルド物と呼ばれているクワガタに関しましては、野外で採集したものであれ、お店や通販でご購入される場合であれ、成熟していると見なしても特に問題はありません。♀の場合はそのまま産卵に移行できる場合も多々あります。
ですが念のためにまずはエサを与えてみて、よく食べているかどうかの確認はしてみて下さい。
同居生活の開始
成熟の確認ができましたら、いよいよ産卵に向けて準備をします。まずは同居生活をさせてみます。同居生活とは成虫の♂と♀を同じ飼育ケースにて飼育する事です。
方法としましては、それ用のセットを組み、その中に♂と♀を入れるだけです。この時に♂が♀を攻撃していたり、全く寄りそう様子がない場合は、もう一度別々で飼育し、しばらく様子をみてから同居を再開しましょう。
産卵セットの組み方
上記の同居生活は、産卵セットにて直接行います。期間は1週間~2週間を目安にしてみて下さい。その期間が過ぎましたら、一旦♂を取り除き、♀ののみを産卵セットにて継続して飼育します。
その産卵セットの組み方ですが、別の記事で細かくご紹介致しておりますので、そちらを参考にしてみて下さい。
参照記事;カブトムシとクワガタの産卵セットの作り方!わかりやすくご紹介します。
割り出しをしてみよう
同居生活から♂を取り除き、♀のみで産卵セットにて飼育を行いましたら、エサを切らさぬように2ヶ月ほど見守ります。2ヶ月が経過しましたら、産卵セットの側面に小さな幼虫が見えてきます。そうしましたら、産卵セットの中身をタライや敷いた新聞紙の上に出してみます。幼虫の割り出しです。割り出しに成功した小さな幼虫たちは、産卵セットと同じマットを、できれば新しいものに変えて継続して管理します。方法はプリンカップにマットを入れて、1頭の幼虫をいれてフタをします。割り出し時に卵が出てきた場合は、これも個別にて管理を行います。この時のマットも産卵セットと同じものを使います。
こうして幼虫を飼育していき、成虫の羽化までこぎ着けていくわけです。
クワガタの種類によって温度管理や注意点は様々ですが、基本的にはどれもこういった手順にて行います。国産クワガタも外国産クワガタも同じです。
初めての方も是非とも挑戦してみて下さい。
クワガタの産卵方法 まとめ
1 産卵をする上で最も重要な事は成熟の確認
2 成熟前は♀を殺してしまう種類もいる
3 成熟期間の目安は種類によって違う
4 割り出し後の幼虫は個別管理を行う
クワガタの産卵あれこれ
温度管理に違いはあるのか
産卵をさせる時の管理温度は種類によって異なるのでしょうか。結論をいいますと、やはり種類によって変わります。
低温管理(18~20℃)の種類としましてはミヤマクワガタ、アカアシクワガタ、オニクワガタなどです。
高温管理(25~28℃)のクワガタでいいますと、国産オオクワガタ、ノコギリクワガタ、マルバネクワガタなどです。
なぜ違うのでしょうか。おそらくこれも本来生息している地域が関係していそうです。南国と北国、平地と高地、例えば南国であっても高い山に生息している種類の場合は低温環境で生息している事になります。こういった、本来の生息地がどんな環境か、それが飼育下の環境管理にも当然影響をするわけです。
産卵数に違いはでるのか
次に産卵数についてです。産卵数がそもそも多い種類と少ない種類はあるのでしょうか。またそれは何故でしょうか。答えとしましてはあくまでも傾向ですが、マット産卵を行う種類のクワガタは産卵数が多いです。逆に材産卵を行う種類は産卵数が少ないです。一体何故でしょうか。あくまでも憶測の域を超えないのですが、天敵の多さが関係しているのではないかと思います。
マット産卵を行う種類=野外では木の根元の土に産卵すると仮定した場合、
土の中には、やれモグラだのイノシシ等の哺乳類だのと数多くいます。
材産卵を行う種類=野外では木は朽木に産卵すると仮定した場合、
土の中と比べると、木の中のほうが天敵も少ないのかもしれません。
もちろん木の中で生きている幼虫にもキツツキやコメツキムシの幼虫等の天敵はおりますが、土の中の方がより危険が多いのでは、との予測です。
マット産卵を行う種類=幼虫の天敵が多いために多く産卵する。
月虫の見解としましてはこんな感じになります。
産卵難易度はあるのか
最後に産ませやすい種類とそうでない種類は存在するのかという事です。これは完全に実績ベースのお話になってしまいますが、どうやら差があるようです。
産ませやすい種類としましては、オオヒラタ系のものやノコギリ系(アフリカのものを除く)、ニジイロクワガタなどが挙げられます。産ませづらい種類としましては、ツヤクワガタの一部(フェモラリスツヤクワガタなど)とマルバネクワガタ系の種類です。
理由はハッキリとはわかりませんが、おそらくこれも本来の生息地の環境などにより、そういった特性なのか、若しくは本来の生息地と似た条件を準備しづらいのか、どちらかが要因かと思われます。
産卵に関しての裏技
最後になりますが、ひとつ裏技をご紹介致します。昔は多くの方が実践されていたようですが、主にオオクワガタなど、材に産卵する種類のクワガタに有効らしいです。ひとつはお馴染み、味の素です。どうするのかと言いますと、これらを水に溶いて産卵木に塗り付けるようです。味の素に含まれる成分でありますグルタミン酸がクワガタの交尾意欲を増進させるらしく、多くの方が実践しておりました。
もうひとつはクワガタ幼虫のフンです。フンを水に溶いて産卵木に塗るそうです。これも交尾意欲を増進させるらしく、さらに産卵木を青カビから防いでくれる効果もあり、一石二鳥です。
その他にもフンを利用したバクテリア材の作成です。これは大量のフンの中に、産卵用の材を埋めて1か月程漬けておくようです。糠漬けと同じやり方です。このバクテリア材がまた産卵に効果をもたらすようです。
味の素やクワガタのフン、色々と裏技があったようです。
クワガタの産卵あれこれ まとめ
1 管理温度はそのクワガタの本来の生息環境に合わせる
2 マット産卵の種類の方が、材産卵の種類のものより多産の傾向がある
3 飼育上、産卵させやすい種類とそうでない種類がある
4 フンや味の素を利用した産卵に関する裏技もある
この記事でご紹介したアイテム
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>飼育ケース
>完熟マット
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>国産ミヤマクワガタ
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