幼虫の割り出しとは
割り出しとは何か
カブトムシやクワガタの飼育においては、産卵させたマットや菌糸や材の中身を確認し、卵や幼虫の数を調べたりする事を割り出しと言います。年間を通して飼育を行っている方にとっては、基本的には必ず行う工程の1つです。産卵をさせた次世代の卵や幼虫を得ることにより、飼育を継続していけるわけです。飼育工程の中でも比較的にワクワクする工程の1つでもあります。
卵と幼虫の割り出し
割り出しには大まかに2種類あります。卵が見えた時点での割り出しと、幼虫が見え始めた時に行う幼虫の割り出しです。月虫でも多くの産卵に関する記事をご紹介してきましたが、基本的には初心者のかたには、幼虫の割り出しをオススメしております。
基本的な割り出しの方法
割り出しは基本的には大きなタライなどにマット又は菌床を撒けて行います。そしてその中にいる幼虫や卵を取り出すわけです。この割り出しという作業は、公の昆虫施設においても体験学習の一環として行われている事もしばしばあります。幼虫や卵を探し出すという体験は子供たちにとってもとても人気のようです。 その手順を簡単にご説明致します。
1 産卵セット内のマットや菌床、産卵木から幼虫が見え始めたことを確認する。
2 タライ又は新聞紙など、マットを撒けたり入れたりするものを用意する。
3 その上に産卵セットの中身を出す(なるべくそっと出してあげましょう
4 幼虫や卵を取り出す。 割り出しの時は、手でマットを崩し幼虫や卵はムシスプーンをご使用いただくことをお勧めします。産まれたての幼虫は大変柔らかくデリケートです。手で押しつぶしてしまわぬよう、ムシスプーンを使うわけです。マドラーなども充分使うことができます。
幼虫の割り出しとは まとめ
1 割り出しとは産卵セットから卵や幼虫を取り出す事
2 月虫では卵の割り出しよりも幼虫になってからの割り出しをお勧めしている
3 割り出し作業は子供にも人気があり公の昆虫施設でも行われている事も多い
初めての割り出しに挑戦
マット産卵の割り出し
まずは最も一般的なマット産卵の割り出しですが、やり方としましては先ほどご説明をした通りのやり方と同じです。基本的には幼虫が見え始めてから割り出しを行います。 カブトムシの種類はほとんどがマット産卵ですので、この割り出しが最も機会が多いのではと思います。 割り出しを行った結果、卵が出てきましたら、もとに戻すか、幼虫同様に個別管理を行います。ここでの醍醐味はやはり、何頭の幼虫や卵が取れるかという事になると思います。マットの側面だけでなく、当然内側にも多くの幼虫たちがいるはずです。特にマット産卵を行う種は多くの卵を産む傾向があります。ワクワクする瞬間はここです。
菌床産卵の割り出し
菌床産卵の割り出しですが、産卵セットの中身を出すという点ではマット産卵と同じです。ですが、今度は菌床の中に幼虫や卵がおりますので、菌床ブロックを少しづつ崩していき、中身を確認します。ひと手間かかるわけですが、その作業もなかなかワクワクがあります。菌床に小さな道(幼虫が通っただろう小さな穴)が出てきましたら期待度大です。この菌床を崩していく作業そのものがやはりワクワクな瞬間だと思います。ちなみに菌床産卵に関しましては、材産卵を行う種類の多くが菌床でも産卵可能であったりしますので、クワガタ飼育を行っている方々にはなじみの深いセットだとも言えます。 菌床ブロックは手で崩していってください。なるべく細かく崩して見落としを無くすようにします。この時は菌床を強く握りすぎないようにして下さい。うっかり幼虫や卵を潰してしまう恐れもあるからです。
材産卵の割り出し
最後に産卵材の割り出しです。材の中に幼虫や卵がおりますので、より慎重に材を剥がしていきます。材割り出しの場合、そのやり方としましては、まず材に小型ナイフやマイナスドライバーなどで傷を付け、そこから皮を剥くようにしていきます。マット産卵の種類程の数量は期待できませんが、そもそも木の皮を剥がしていくといった作業自体が非日常な行為ですので、より自由研究っぽさもあり楽しむことができます。崩し終わった材の破片は幼虫飼育時のマットの中に一緒に埋めてしまう事も可能で、最後の最後まで有効に利用できます。
初めての割り出しに挑戦 まとめ
1 マット産卵の種は多産傾向があるので割り出しも楽しみ
2 菌床産卵の割り出しは幼虫の食痕(幼虫が食べ歩いた痕)が見えたら期待度大
3 材産卵の割り出しは非日常の体験でもある
割り出しについてのあれこれ
採卵という発想
割り出し以外でも似たような工程としまして、採卵というものもあります。これは卵を数回に分けて回収する行為です。主にカブトムシ、特に大型の種類のカブトムシに産卵させた場合などに行うことが多いです。目的はせっかく産んでくれた卵を親虫自身が踏みつぶしたりして破損させてしまう可能性を減らすために行います。採卵後はもう一度産卵セットを組み直す必要が出てきますので、そのあたりは大変ですが、多くの卵をゲットしたい場合は採卵という工程も必要になってきます。
割り出しのタイミング
割り出しのタイミングですが、一番お勧めなのは、マットや菌床の産卵場合ですと、食痕や幼虫そのものが見え始めてからの割り出しです。幼虫の確認が2~3頭だけの時は、もうしばらく待っていますとさらに産んでくれる可能性も充分ありますので、待ってみるのも手のひとつです。 では材産卵の場合はどうでしょう。材の中の幼虫はあまり見ることができません。この場合は材が充分ボロボロになってきたのを確認して、割り出しを行います。時間的な目安としましては、産卵セットを組んでから約2か月です。その頃には割り出しを開始しても良いかと思われます。ただし2か月経過しても材の状態が全く変わっていないようですと、産卵をしていない可能性もありますので、もう一度組みなおしとなってしまう場合もあります。
NG行為や注意点はあるのか
最後はNG行為や注意点です。重要項目と言えます。 大まかに分けて3つあります。
1 割り出し時に幼虫や卵を傷つけてしまう
2 割り出しを怠る
3 時間経過も少なく、幼虫も見えてないのに割り出しを行う
この3点です。
まずは割り出し時の注意点ですが、幼虫や卵を手で潰してしまう場合です。ここは特に注意を払って優しく触れるようにしてあげましょう。それ以外では主に材産卵の割り出しですが、ナイフやマイナスドライバーなどで材に傷を付けたりしますが、この時も細心の注意を払って行います。とはいえ、材の割り出しに関しては実際幾つかは傷を付けてしまうものです。多少の割り切りも必要なのかもしれません。
2点目ですが、こちらも重要です。 割り出しを怠る、つまりいつまで経っても割り出しをしないという事です。まずマット産卵の場合ですと、多くの幼虫が中で生きているにも関わらず、産卵セットのままでおりますと、マットからダニやコバエが発生する事もあり、マットが劣化してしまう場合があります。高温飼育(25℃以上)の場合ですとそれはさらに加速します。劣化したマットはあまりエサにはなりにくいため、結果、幼虫たちの生育に問題が出てきてしまう事になります。 菌床産卵や材産卵を行う種類、オオクワガタやコクワガタなどがそうですが、いつまでも割り出しを行わず放置しておりますと、親虫である♀が幼虫を食べてしまう事があります。結果少しづつ幼虫の数量が減ってきてしまいます。この場合は、たとえ割り出さない場合でも、一定の期間が経過しましたら親虫だけは取り除いておくことが必要となります。さらにもっと多く産ませたい場合などは、いっその事、材交換を行うこともお勧めです。幼虫や卵が中にいると思われる材を取り除き、新しい材を入れてあげて産卵を継続してもらうのです。
親虫に喰われたと思われるコクワガタの幼虫
最後は、逆に早期に割り出しをおこなってしまう場合です。1か月経過も待たず、且つ幼虫も食痕も確認できないうちは割り出しは控えましょう。もしかしますと、♀の産卵モードを阻害してしまい、産んでくれなくなってしまう場合もあります。 割り出しのタイミングは重要と言えます。
割り出しについてのあれこれ まとめ
1 割り出しのタイミングの時間的目安は産卵セットを組んでから2か月
2 割り出しを怠ると不具合が生じる事もある
3 割り出し時には幼虫や卵を傷つけてしまわないよう細心の注意を払う
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