コクワガタの採集について
今回はコクワガタの採集についてです。皆さまにとってはなじみの深いクワガタのひとつだと思います。コクワガタも小柄ではありますが、良く見るとカッコいいクワガタだと思います。この記事を読んで是非とも採集に挑戦してみて下さい!
コクワガタはどこにいるのか
ではまず初めに、コクワガタはどういったところに生息しているのかという事です。
コクワガタは基本的には雑木林で生活しています。ですので雑木林で多く見る事ができます。標高でいいますと平地から標高やや高めの場所でも見る事ができ、生息範囲でいいますと実に幅広いクワガタともいえます。
では雑木林の中の何の木が狙い目かといいますと、カブトムシ同様に
クヌギ、ニレ、ヤナギ、ナラ、タブなどの木にいる事が多いです。
木の樹皮裏や時にウロの中(穴の中)、木々の隙間や木の表面にいる事もあり、その時々の状況によって発見できる場所は様々です。その事もあって、採集初心者の方には比較的ハードルの低いクワガタともいえます。
コクワガタはいつ頃出てくるのか
ではコクワガタは何月頃から姿を現すのでしょうか。
地域にもよりますが、早ければ5月頃から出始める事もあります。九州などの暖かい地域では4月頃から出始める事もあるようです。後半は10月上旬まで見られる事もありますが、最も活動が多くなるのはやはり6月~8月頃だと思われます。
野性のコクワガタの特性
採集に出掛ける前に、コクワガタの特性をチェックしておきましょう!
①隠れている事が多い
コクワガタは体もあまり大きくないせいか、なるべく自分より体の大きな他のクワガタやカブトムシと出会わないように、樹皮の裏などに隠れている事が多いです。樹皮の裏側の樹液を吸うわけです。カブトムシなどは樹皮の裏側には体が大きくては入れないため、ライバルが少ないからです。
②比較的に飛翔性は高い
コクワガタはノコギリクワガタほどではありませんが、飛翔性は高めです。ですので多くの場所で見る事ができるのかも知れません。♀や小さめのコクワガタほどよく飛びます。小さい個体は樹液の出ている木に集まる他のライバル達(大きめのコクワガタ含む)にはケンカでは負けてしまうため、同じ環境には居続けられないので、飛んでいって他の場所を探し求める必要性もあるわけです。
③足音やライトに敏感
これも特徴です。小さいクワガタが子孫繁栄のためには、何事にも敏感でないと大変なのでしょう。敏感に反応し、なるべくケンカになる状況を作らない事が大切なわけです。
こういったコクワガタの特徴を知ったうえで、さぁいよいよ採集に出掛けてみましょう!
コクワガタの採集について まとめ
1 コクワガタは基本的には雑木林で生活している
2 狙い目の木は、クヌギ、ニレ、ヤナギ、ナラ、タブの木
3 活動時期は5月~9月頃(暖かい地域ではもっと早く、もっと長い)
4 隠れている事が多い(樹皮裏、木々の隙間、たまにウロの中)
5 比較的に飛翔性は高い
コクワガタの採集に挑戦
燈火採集のやり方
まずは燈火採集についてです。燈火採集とは街灯や自動販売機の明かりなど、夜間に明るい場所へ行ってクワガタを採集する方法です。近くに山や森などがある場所や、山林が多い地域などでは有効です。樹木などの自然の知識がなくてもできる採集方法ですので、採集初心者の方にはとてもオススメです。
自販機の灯りも狙い目です。
ルッキング採集のやり方
さぁ次は雑木林での採集です。目で見てクワガタがいたら捕まえる、ルッキング採集に挑戦です。クワガタはその飛翔性を考えますと、大きい個体ほど飛翔性が低く、木の中や木の表面にいる事が多いです。ですので大きめの個体をゲットしたい場合はルッキング採集がオススメです。
まずは採集の時間ですが、コクワガタは基本的には夜行性ですが、日中に活動している事も多く採集は充分可能です。最初は日中にお出かけする方が良いかもしれません。
次にどんなところを狙えばよいのかという事になりますが、先述しましたとおり、コクワガタは日頃隠れている事も多いのですが、まわりに敵やライバルがいない時などは木の表面に出てきている事もありますので、木の樹液の出ているあたりをチェックしてみましょう。
樹皮裏にいるコクワガタ
手で捕まえる事ができる場合はそのまま捕まえます。難しい場合は網を使って捕まえます。どちらとも共通して言える事ですが、なるべく1回で捕獲する事を心がけて下さい。コクワガタは敏感ですので、異変を察知すると手足を丸めて木の下に落っこちてしまう事も多々あります。木の根元部分が見えやすい場合はよいですが、草木などで見えずらい場合はそのまま逃げられてしまう事もあるからです。
木の表面にいる事もあります。
木の表面を見てもクワガタを確認できなかった場合は隠れている事も考えられます。念のために樹皮裏もチェックしてみましょう。樹皮裏の樹液を吸っている事も充分考えられます。
その次はウロの中をチェックします。コクワ、オオクワ、ヒラタなどのドルクス系はウロの中に隠れている事が多い種類です。コクワガタの場合はそういった自分よりも大きいクワガタがウロの中にいない場合はそこを隠れ家にします。コクワガタが木の表面にいる事が多いのは、自分より大きいクワガタがすでにウロや樹皮裏に隠れていて、自分たちが隠れられない事も多いからです。ウロの中を掘り出す場合は細いひっ掻き棒のような物を使用し、ウロの奥の方までその棒を突っ込み、クワガタがウロの奥に逃げ込まないようにした状態でウロの中から出して捕まえます。
ひっ掻き棒です。
木の表面、樹皮裏、ウロ、全てチェックしても見つからない場合は、最後の手段としまして念のために蹴りを一発いれてみましょう。いわゆる蹴り採集です。蹴り採集の場合はその鉄則としまして一撃必殺です。2発目はクワガタも警戒して必死に木にしがみついてしまうからです。蹴りを入れる時の注意点としましては体をやや遠めにして、落ちてくるクワガタを広い視点で捉え、落ちた場所が確実にわかるようにする事です。そしてもちろん耳を研ぎ澄ます事です。耳を研ぎ澄まして落ちてきた音を聞き分けます。目で見て、耳で音を捉えるわけです。それに自信のない方は、例えば木の根元にシートを敷いて置くですとか、広げた傘をおいて置くですとかすれば、落ちたクワガタはそこに入ると思いますので、それも手堅いかもしれません
トラップ採集のやり方
トラップ採集とは、フルーツなどをストッキングに入れて、夜間のうちにそれを木にぶらさげておいて、翌朝に採集に出掛けるやり方です。
トラップ採集に関しまして別の記事でご紹介しておりますので、参照してみて下さい。
参考記事;カブトムシの採集に挑戦しよう!夏の楽しみはやっぱりコレだ!
採集名人Shihoさんと行くクワガタ採集記
蹴り(叩き)採集の様子がわかる動画です。ミヤマクワガタが主の動画ですがコクワガタも同様の方法で採集できます。
こちらの動画は木の穴の中に潜んでいたコクワガタ(ペア)をひっ掻き棒で採集する様子。
こちらは採集前日に雨が降り、蹴り採集には不利なコンディションの中、Shihoさんが叩きのテクニックを見せてくれます。
■採集名人Shiho
月夜野きのこ園のブリード担当。月夜野きのこ園の飼育日記を担当し、13年にわたり書いた記事は1100記事をこえる。飼育実積のある種類は200種以上。ブリードだけでなく、野外採集も得意分野。趣味は素潜り。野ウサギを捕まえて食べた事も・・・
■月夜野きのこ園飼育日記 https://www.tsukiyono.co.jp/stag2/diary/
コクワガタの採集に挑戦 まとめ
1 燈火採集は街灯の明かりや自動販売機を狙ってみる
2 時間は夜間が良いが、初めての方は日中がオススメ(見やすいため)
3 ルッキング採集は、木の表面、樹皮の裏、ウロの中をチェックする
4 蹴り採集は一撃必殺を心がける
5 ウロの中はひっ掻き棒を駆使して奥に逃げさせない
採集に関するその他あれこれ
野外採集に不向きな条件とは
野外採集を行う上で不向きな条件もあります。基本的にはカブトムシと同じですが、このようにまとめてみます。
①強風 ②満月 ③雨の日
②は夜間限定ですが、①③は日中にも通じます。強風の日はそもそもクワガタも活動を控える事が多いです。風にあおられてよく飛べないからです。③も同様に羽が雨に濡れて良く飛べないためか、活動は控えめですし、採集する私たちにとっても、特に蹴り採集の時等はけりを入れたら雨粒が落ちてきて、音がよく聞き取れなかったりします。結果、雨粒の落ちる音なのか、クワガタが落ちてきた音なのかがわからないのです。
②が不向きなのはカブトムシ同様に、月明かりに向かって飛んで行ってしまうのか何なのか、あまり目の見えるところに現れないからです。
野外採集時の注意点
野外採集時の注意点ですが、これもカブトムシ採集と同様に、まずは転んで怪我などをしない事です。雑木林の中はもちろん一般的な道路に比べますと足元も悪いですのでそこは注意が必要です。そしてやはりスズメバチやヘビといった昆虫や生き物です。特にスズメバチは樹液をエサにしているため、遭遇してしまう事も充分考えられます。
最後に、クワガタ採集もモラルを守って行って下さい。くれぐれも他人様の迷惑になる事や、山や森、雑木林といった自然環境を汚染するような行為は控えて下さいますようお願い致します。
スズメバチには要注意!
採集に成功したら
コクワガタの採集に成功しましたら、クワガタ愛を持って大切に育ててあげて下さい。そのコクワガタたちの子孫を残す方法などもありますので、詳しくは別の記事にも書いておりますので参照してみて下さい。
参考記事;コクワガタの飼育【基礎編】飼育からブリードに挑戦してみよう!
採集に関するあれこれ まとめ
1 野外採集に不向きの状況 ①強風 ②満月 ③雨の日
2 野外採集での注意点 ①転んで怪我 ②スズメバチ ③ヘビなどの生き物
3 採集はモラルをしっかり守って行う
4 採集したコクワガタはクワガタ愛を持って大切に育てる