カブトムシの幼虫飼育に挑戦
※このページで登場する「カブトムシ」は日本のカブトムシ(国産カブトムシ)の事を指します。
幼虫を手に入れるには?
カブトムシの幼虫を育てるわけですが、ではどうやってカブトムシの幼虫を手に入れればよいのか?まずはそこからですね。
カブトムシの幼虫は、実は通信販売でも買う事ができます。何十年も昔は、幼虫などは一般的にはあまり流通もしていないものでした。ですが近年は普通に通販で販売がされておりますので、まずはご購入してみる事をおすすめ致します。
注意点としましては、販売期間です。5月~9月頃になりますと販売を終了している事もありますので、遅くとも3月頃までに、可能でありましたら10月~11月頃にご購入する事をお勧め致します。
ちなみに幼虫を採集する事も不可能ではありませんが、初めての方にとってはなかなか難しいと思いますので、まずは手堅く通信販売などで購入してみましょう。
蛇足ではありますが、幼虫を購入される方の中には、3~4頭まとめて購入される方が多いです。理由としましては1頭のみで買われると、無事に羽化にこぎつけても、お目当ての性別(オスメス)と違う場合もあるからです。複数買いをすることで、そのリスクを回避しているわけです。
カブトムシの幼虫を買う事が出来るサイト
>月夜野きのこ園クワガタ菌床販売部
>クワガタ天国
幼虫飼育の手順と飼育用品
カブトムシの幼虫を買う事ができましたら、早速飼育を始めてみましょう。その手順や飼育用品についてご説明致します。まずは幼虫のエサと飼育ケースについてです。
カブトムシの幼虫は、野外で生きているものは腐葉土や朽木を食べて生きております。ご家庭などで飼育をする時はは腐葉土に代わる、マットという土のようなものをエサにします。
このマットを飼育ケースの中に入れて、その中でカブトムシの幼虫を育てていきます。
1頭(幼虫を数える時の単位は頭)のみを飼育ケースの中に入れて飼育する事を「単独飼育」、複数の幼虫を入れて飼育する事を「多頭飼育」といいます。大きなカブトムシにしたいと考えている方は単独飼育を行う人が多い傾向があります。
もちろん多頭飼育でも大きくならないという訳ではありません。むしろ多くの飼育ケースを準備しなくても良いため、多頭飼育を選ぶ方も数多くおります。
では飼育する時の飼育ケースなどの容器ですが、どのサイズの物を使えば良いのでしょうか。単独飼育か多頭飼育によっても違いますが、ある程度の目安をご説明します。
まずは、最初から最後まで単独飼育を行う場合ですが、必ずしも飼育ケースを使用する必要はなく、クリアボトルと呼ばれている容器でも全然問題はありません。さしずめ1100ccボトルあたりが適当かと思われます。
ひとつ外せないポイントとしては、「マットの深さ10センチ」を保てる「高さのある容器」を選ぶことが重要です。カブトムシは蛹になる時に縦方向に大きくスペースを使います。この時充分なマットの深さを確保できないと、変形や死亡の原因となる羽化不全を起こしやすくなるので、それを防ぐために高さのある容器が必要になります。
では多頭飼育の場合はどうでしょう。多頭数で飼育される場合は大きめの飼育ケース(飼育ケースL)をおすすめします。お互いがぶつかり合ったり、窮屈になりすぎないよう、ゆったりとした環境を作ってあげる事をおすすめします。
▼具体的な目安
クリーンケースL=8~10頭
クリーンケースM=4~6頭
クリーンケースS=2~3頭
クリーンケースシリーズ(奥左=L、奥右=M、手前左=S、手前右=SS)
マットと容器の準備ができましたらいよいよマットを詰め、幼虫を投入します。
このときに、マットが再発酵しないためにガス抜きという作業を行います。マットはガス抜き後に使用します。発酵マットのガス抜きについては別の記事でもご紹介しておりますので、詳しくはその記事をご参照下さい。
参照記事:カブトムシのマットって何だ!幼虫飼育のカギはコレだ!
飼育する上で気になりますのが飼育の温度帯です。飼育温度は人間が生活できる環境と同じような温度帯で大丈夫です。冬場にやや寒くなってしまっても特別問題はありません。ただし10℃以下になるような環境はなるべく控えましょう。
幼虫のフンとマット交換
飼育を行っていきますと、容器の中が幼虫のフンで一杯になってくる事があります。その場合は容器の中のマットを交換する合図です。容器から幼虫とマットを取り出して、新しいマットをいれてあげましょう。マット交換は4月以降は控えたほうが良いですが、秋~冬の間はなるべくマメに交換してあげましょう。
蛹化と時期
幼虫の飼育を続けているとやがて春が来ます。4月頃になりましたらマット交換はなるべく控えるようにして下さい。その頃になりますと幼虫は前蛹という状態になります。
前蛹とはその名の通り、サナギになる前の段階です。特徴として、あまりエサを食べなくなります。また見た目の変化として、色がやや黄色っぽくなり、しわが目立ってきます。それ以前の幼虫は白っぽい色をしておりますのでその差がわかります。
幼虫がこのような状態になってくるのが、だいたい4月頃になります。もちろん飼育環境や飼育の温度帯によっても前後する事はあります。
マット交換を控える理由というのは、前蛹が蛹室(サナギでいるときの部屋)を作っていた場合に、マット交換時にその部屋を壊してしまう恐れがあるからです。この頃になりますと、エサもあまり食べなくなりますので、マット交換はしなくても大丈夫です。
そうしていよいよサナギになり、夏には成虫になっていくわけです。
サナギになって以降の飼育に関しましては、別の記事でもご紹介してりますので、
その記事を参照してみて下さい。
参照記事:カブトムシのサナギの飼育!これだけ知っておけばとっても簡単!
カブトムシの幼虫飼育に挑戦 まとめ
1 カブトムシの幼虫は通信販売で買う事が出来る
2 購入時期は10~11月頃がおすすめ
3 カブトムシの幼虫はマットをエサにする
4 飼育容器内にフンが多く見え始めたらマット交換を行う
5 4月になったら念のためにマット交換はしない
幼虫についてのあれこれ
ここからは幼虫に関しての予備情報をご紹介致します。
マットの上に出てきてしまう場合
幼虫はほとんどの期間をマットの中で過ごすようになりますが、マットの上に出てきてしまうことがあります。この時は飼育容器内の環境が悪くなっている可能性がありますので、状況をみながら対処してあげましょう。
よくある原因としては、
(1)エサ不足
(2)水分不足
(3)酸素不足
(4)蛹室が作れない(水分不足やマットの深さ不足)
の4つがあげられます。
■チェックポイント
(1)エサ不足チェック : マットの表面にフンはありますか
マットの表面にフンがある状態は、マットの内側の食べられる部分が少なくなり、「エサ不足」状態になっている可能性が考えられます。この場合は、新しいマットに交換してあげましょう。
(2)水分不足チェック : マットを握ったとき形が残りますか
幼虫はマットの水分を必要としています。水分の適量の目安は、マットを握ったとき形が残るくらいです。パラパラになってしまうようであれば「水分不足」状態になっていると思われます。この場合は、マットを一旦取り出し、水をすこしずつ足して適量にしてあげましょう。
(3)酸素不足チェック : すっぱいようなニオイはありますか
飼育容器のフタを開けてニオイを確認してください。すっぱいような、動物のフンのようなニオイがあれば、マットが再発酵してガスを発生させ、飼育容器内が「酸素不足」状態になっていると思われます。この場合はフタを開けたままにして、ニオイが落ち着くまでしばらく置いておきましょう。
また、ニオイがない場合でも飼育容器の通気が悪いことが原因で酸素不足になっている場合もありますので、エサも水分も問題ないのに…という時はフタを開けてしばらく換気をして様子を見てみると良いでしょう。
(4)蛹室できるかなチェック:マットの「水分」と「深さ」がポイント
幼虫や前蛹は体を動かし蛹室(蛹になるためのスペース)を作ろうとします。その時マットの水分が不足しているとパラパラとマットが崩れてしまい蛹室が作れません。
また、カブトムシは角を上にして縦に蛹室を作る特徴がありますので、マットに充分な深さがないと、マットの上に出てきてしまう事があります(10センチ以上は欲しい)。
なので、もし水分が足りなければ、(2)のように水分を足してください。マットの深さが足りない場合は、マットを追加して深さ10センチ以上を保つようにしてください。
幼虫のフンとは
幼虫のフンは発酵マットに似た色をしていますが、丸く粒状になっているので見分けがつきます。
オスとメスの見分け方
カブトムシの幼虫もある程度成長が進むと、オスメスの判別ができるようになります。見分けるポイントは幼虫のお腹です。おしりから2番めと3番めの線の間に「∨字」を探してください。あればオスの可能性が高くなります。
幼虫の大きさ
カブトムシは成虫になってからは大きくなりません。幼虫時代にいかに大きくできるかが、大きな成虫にするポイントです。幼虫時代の体重が40gほどになると、大型の成虫が期待できるようです。
幼虫は共食いをするのか
多頭飼育(ひとつの容器で複数の幼虫を飼育)をする際に、幼虫が共食いをしてしまうのではないかと気にかかる方もいらっしゃるかと思います。この事について月虫としては、「積極的に共食いはしない」のではないかと考えています。
以前オガを保管していた場所から元気なカブトムシの幼虫が大量にでてきたことがあり、その時の人口(虫口?)密度も高かったのですが、特に幼虫の死骸らしきものは見つかりませんでした。この事を考えますと、多頭飼育を行うこと自体は、共食いと言う事に関しては、過度に心配をする必要はないのでは、と考えています。
ただし同じ容器内で飼育する幼虫が多すぎる場合、必然的に幼虫同士の接触や衝突が増え、傷つけ合う可能性が高くなると予想されますので充分な広さを確保したほうが良いと考えています。
幼虫についてのあれこれ まとめ
1 幼虫が上がってきたら対処のサイン
2 オスメスはお腹の「V」で見分けよう
3 大きくなるのは幼虫時代
4 共食いは、過度に気にせず、広さは確保